【詩】他人へ向けるのは狂気
人はどうしても
自分が相手よりも優位な立場にあるとき
その相手を
特に他人を
ここまでかと見下すことが多い
どんなに綺麗事を並べている人でも
他人に対する言動や眼差しには一種の狂気が宿る
そこには愛も慈悲もなく
正論という銃器を持った兵士にしか見えない
上下の関係であろうと
かつて親交を深めていた相手や
愛し合った 想いを通じた相手であっても
ひとたび他人という境界を引いてしまうと
ドライを通り越して冷酷になってしまう
それを何故だか 当たり前だと自覚しているようだ
この世界には狂気が満ちている
それを無くそうと努力するだけ
その狂気は見えない内側に蓄積されていく
そう
狂気を狂気で無に帰そうとしていることに
その人はまだ気づいていない
晴れていると思ったら急にスコールが降ってきて
止んだと思ったらつむじ風
そうしてまた晴れて
そうこうしているうちにまた降ってしまう
この移り変わりはまさしくにんげんのこころと一緒
狂気ほど浸ってしまうと酔ってしまう
その中に純粋さはあるのだろうか
それとも何か履き違えているのだろうか
その風はすべての熱を奪っていくように
昂る気持ちにブレーキをかけていった