【詩】足止め
朝から一日中ずぅっと雨が降っていて
その雨脚は非常に強く
外作業の手を妨げていく
大地は多くの水を含み
あんなに硬かったはずなのに
今では歩む足ですら呑み込もうとしている
物事は自分だけの都合ではなかなかうまくいかないことが示すように
この世界は自分だけが動かしているのではない
しかしどこかでわたしたちは錯覚し
全知全能の大いなる存在だと覚醒する
そうして過ごしていくうちに
無縁なはずのストレスを抱え
そして笑顔が消えていく
いつしか描こうとしていた螺旋は
蟻地獄を映すようになった
人は誰も他人のことなどを考えずに自分だけが得するまたは自分だけの負担が減るような行動を平気で行うしそれを正当化して反省しようともせず開き直るのが常であって何かしら自分が進めようとしている物事のスピードを変えさせられてしまうと途端に不機嫌になってこの世のものとは思えないうめき声をあげてはわたしは世界一不幸だと嘯いて同情を買おうとする不思議で可哀そうないきものに見えてしまうのだけれど
生きていれば足止めをくらってしまうのは普通のことで
テレビゲームのシナリオのように順調には進まない
それはどんなに頭が良く仕事が出来ても同様で
こればかりはどうしようもないと思えてくる
歩こうとする先には大きな水たまりがありそこはただただ空を映している
そこに足を踏み入れると波紋が広がり世界が崩れ靴は濡れてしまうけれど
その世界だけの話なんだけど空の上に立っているように見える
その光景に見とれ そのまま足を止めた