つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

【詩】遠のくものをなんとか離さずにいる

晴れから曇り そして雨と矢継ぎ早に変わっていく天気

しかしながら梅雨明けのような 息苦しさを突き付ける空気は

生活圏に常に漂っている

 

車のエアコンについ避難してしまうのだが

いつも諦めてまとわりつく空気のただ中に飛び込んでいく

まだ大丈夫とお経のように唱えながら

長い時間を過ごしていく

 

これは相当のものを奪っていくし

下手をすれば明日はずっと布団の中

それほどに恐ろしいものなのだが

どうしても人間はギリギリまで何も言おうとしない

 

その天秤にかけられているものは

自分にしかわからない倫理だった

 

 

 

リアルでもネットでも

途端に距離が離れることがある

いつのまにか遠のいていて

離す離さない以前の話になっていることがある

 

あの日あなたはこういった

繋いでいる手を離してしまったの と

その言葉の意味するところは 実は結構重い

実に重いのだ

 

 

この上ない衝撃とともに意識から何から遠のいていく

もしぼくのほうから手を離したのであれば

ぼくはその時点で終わらせることを選んでいるだろう

バカげた話に聞こえるが

既に世界ではそうやって終わらせる有名無名の人が後を絶たない

そうすればもうあなたの拒絶の声も届かないのだから

メリットはあると考えてしまう

 

 

晴れているのに吸う空気が物体で

呼吸もままならない毎日

意識もいのちも遠のいていきそうだったけど

それをなんとか離さずにいる

ぼくは何を求めて生きているんだろう

カーエアコンの冷たい風が前髪をかきあげた