【詩】るるる ふわり
夜が明けると何処からともなく鳥がやってきて
わざわざ井戸端会議のような挨拶の演奏を始める
それまでお布団の国でぬくぬくしていた半分死にかけの人間は
太陽の眩しさよりもアクセントのある高温に覚醒する
その演奏をひととおり聞いた後は
少しばかりの二度寝という至福にのめり込む
そうして早朝は朝になり
やっと今日の天気を気にかけるようになるのです
静寂な空間がある朝だけれど
沈黙を破るかのように牛がひと啼きすれば
他の牛も呼応してすぐに近くの世界はにぎやかになる
太陽の求めで花びらを広げる準備を行えば
何かのための用意はすべて整うかのように思えた
そうして無音の世界に音が生まれ
いちにちは始まってゆく
それぞれの中にそれぞれの音があり
みな楽しく踊っている
風に草花が揺れ
木々には若芽が一斉につき
雨は雪を融かし
気温は生きるを促す
そうして誰もが生きていることを知って
知らずに生きていることの奇跡を味わう
そうして毎日
わたしたちは無意識に踊っている