いわた書店さんの「一万円選書」にて選んでいただきました。
原田さんの著作は読んでいますが、絵画絡みのお話ではダントツ!に面白かったです。
第25回山本周五郎賞
ダ・ヴィンチ プラチナ本OF THE YEAR 2012
王様のブランチ BOOKアワード2012大賞
北海道砂川市 いわた書店による一万円選書による選書
美術系のミステリーでも、これはかなり違いました。
1枚の絵に関する鑑定を、いわくつきの業界人(腕を見込んでのこと)に依頼する。
日常では見ることのない出来事が、作中では描かれています。
しかしその絵もいわくつきで、「本物」と鑑定されれば良いのか、それとも「贋作」と鑑定されればよいのか。人間の思惑次第で、鑑定結果が変わりそうな雰囲気も醸し出します。
単純な疑問として、その絵の正当な価値を定めるのが鑑定、だと思っているのですが、どうやら「歴史的〇〇を変えたくない」と考える立場の人もいることが明らかになっており、こういった話が実在したとしたら、部外者としてはやるせない気持ちになります。
物語は絵画の鑑定だけにとどまらず、鑑定を依頼された二人の専門家にも注目が注がれます。二人のエピソードも大変興味深く、ドラマを感じました。
実は原田マハさんの美術系のお話は、どことなく敬遠してきました。
やはり理解が追い付かないことがあったからで、なるべく違うお話を読んでいたのです。しかし今回選書してもらい、読んでみたところ、ちゃぶ台返しのごとくこれまでの価値観が吹っ飛びました。もう一度、そのほかの作品を読んでみたい気分になりました。
本書を読み終えて初めて原田さんの経歴を目にしたのですが、なるほど、そりゃそうだわ、と思わせる内容でした。だからこそ、期待したいという気持ちが溢れます。不遜な表現になってしまいますが、自分の中に隠れた新たなモノが、この作品によって見出されたような気がしてなりません。