つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年2月の読書感想文⑦ アーバン・ベア 佐藤喜和:著 東京大学出版会

値段は張りますが、一読の価値があります。また、札幌市内の図書館にも蔵書はあるはずです。八雲町立図書館にも蔵書としてありました。

 

 

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アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う 佐藤喜和:著 東京大学出版会 個人蔵

 

八雲町内でも熊は頻繁に出没することから、熊関連の本は買うようにしています。

この本はつい最近出版されていることもあり、「現在のヒグマ」について知ることができます。

 

本書は羆の生態から人との対立、農地や市街地への出没等に章を分け、丁寧に語られています。現在は明らかに羆の生息数は増えており、その結果のひとつが「農地」そして「市街地」への出没につながっていると考えます。過去の実例から羆が境界を越えないための実践例等を挙げていますが、これはまだごく一部の活動にすぎません。おそらく、実践している人よりもなんやかんやと声を上げているだけの人が多いように思います。確実に増え、市街地に出没し続けるであろう羆とどのように向き合うのか、その覚悟を問われているかのようでした。

 

終章にはこれからのヒグマ管理と題し、様々な可能性を探っています。

この可能性の実践は、官民または産学官といった、いわゆる共同体で動かないことには意味がなくなります。ここからまた数年後には「自分には関係ない」話ではなくなってくる可能性が高くなるからです。生態系を守ることとはどういったことなのか、わたしたちの生活を含めて、もっと考えていく必要があると教えられた本でした。