つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年7月の読書感想文⑧ 奥会津最後のマタギ 滝田誠一郎:著 小学館

アウトドア雑誌「BE-PAL」で連載されていたものが書籍化しました。かといって内容は古くなく、現在にもしっかりと目を当てられており、かなり参考になると感じました。

 

 

 

自然との共生を目指す山の番人 奥会津最後のマタギ 滝田誠一郎:著 小学館

個人蔵

 

マタギという職業(または生き方)に触れるとともに、社会や環境を思う一冊。

マタギというのは東北独特の呼び名だと思います。そのほかでは猟師やハンターと言いますから。

 

本書は2021年刊行で、雑誌掲載は2019年から。

意外と最近の出来事となっています。

 

さて内容ですが、マタギは「猟をする」だけが仕事(または生活)ではないことを明確に教えてくれます。つまり、猟をするためには自然の(または自然現象の)様々を知らなくてはなりません。そこにも身を置いて生活を送ってみることが大切だとしています。そうでなければ、意思の疎通(といった感覚)は難しいのでしょう。

 

現代感覚からすると敬遠されがちな職業だと思うのですが、ここに弟子(志願者)が入ります。そうして経験を積んでいくのですが空、不思議なものです。注目すべき点は、マタギの募集を「地域おこし協力隊」として行い、行政がサポートしている点にあります。これで多少は門をたたきやすくなります。北海道でそのような実例を見たことはありませんが、新聞記事でどこかのマチが募集をかけていたのを思い出しました。

 

この本は決して厚い本ではないのですが、猟に関することや山菜に関することなど、豊富に語られています。「恵みを受けて生きている」というのがよくわかる表現です。昨今は恵みなどーといった考えの輩が多くなってしまいましたが、これを読むとその仕組みがよくわかります。厳しさはありますが、とてもやさしい本だと思います。

 

ごくごく個人的な話ですが、自分の職場には自然があります。

マタギとはいきませんが、ここの自然を守ることが出来たならと思うことがあります。

ここを守る、とは小さな考えではありますが、なんとなく、ここ「だけ」を守ることにはならないのだと、自然は教えてくれているような気がしているからです。

 

今年の夏は、秋は、冬はどうなるでしょうか。

翻弄されつつ、寄り添いつつ、ともに過ごしていこうと思います。