つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年9月の読書感想文① 職業は武装解除 瀬谷ルミ子:著 朝日新聞出版

本日から9月です。早いものです。

 

社会問題関連を扱う雑誌に出ていた本だと記憶しています。

 

 

職業は武装解除 瀬谷ルミ子:著 朝日新聞出版 個人蔵

 

 

元国連職員の著者が武装解除の専門家として世界を舞台に活動するまでを追ったものです。

 

職業が武装解除、というのは、何とも想像がつきません。

どうやら世界でも武装解除を職業にした人はこれまでにいなかったようです。

 

本書は彼女がどのような人で、どのような経緯で武装解除を仕事とするようになったのか、その道のりがよくわかるようになっています。その詳細は現代でいう「楽して稼ぐ」とは真逆のもので苦労しても報われないかもしれない結果を求めています。紛争からは程遠い距離にある日本人でしたから、その感覚をつかむのも大変だったと思います。

 

本書を読んでみると、「わからないこと」に対する問題解決への行動力が凄いです。

たいていの人は、ここで躓くと思います。何も彼女が国連という組織で働いていたからできた、というものではないと思います。わたしたちは結構、何がわかっていて何がわかっていないか、その区分けを良く理解できていない節があります。あいまいなままで物事に手を付けたところ、わからないことだらけの事態になり、いつしか手を引いている。そんな結果が実は多いのではないかと感じています。著者の瀬谷さんはその課題をほぼマンパワーで解決され、自分のやりたい仕事を最終的には「自作」しています。これは現代の若者が持とうとしない感覚だと思います。

 

日本では社会起業家という職業がありますが、瀬谷さんの仕事もそれにあたると思います。決して楽な仕事ではないと思いますが、大きな意義のある仕事だと思います。同時に危険が伴う仕事でもあります。その中でも安全を確立して自分の仕事を進めていくことも、スキルのひとつだと感じています。

 

日本の政治の世界(少なくともテレビで見る範囲の)とは、まるで違う世界です。

こういった思考の政治家が、政党関係なく生まれて活動してくれたなら、日本はかなり問題解決に長けた国に成長すると思います。それを願うばかりです。