つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年5月の読書感想文⑥ 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたたち 山田詠美:著 幻冬舎

山田詠美さん、初となります(たぶん)。

 

明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたたち 山田詠美:著 幻冬舎 個人蔵

 

家族小説、と言えばいいでしょうか。

 

元々違う家族がひとつの家族になり、そこから再出発といいますか、日常の幸せを追い求めていく流れになっています。ところが順風満帆とはいかず、ひとりの死を迎えてしまったことで、積み立てていったものが容赦なく崩れます。崩れていく様はさながらドラマのよう。実際にもあるであろう光景に、心が冷える思いがしました。

 

最後はハッピーエンド、というものではないのですが、ようやくという思いが描かれていて、いつのまにか強く握っていた拳を、少し緩めることが出来るようになりました。家族の物語はときにあたたかく、ときに冷たいです。そういった時間が流れているのだなと学ばせてくれた物語でした。