山田詠美さん、初となります(たぶん)。
明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたたち 山田詠美:著 幻冬舎 個人蔵
家族小説、と言えばいいでしょうか。
元々違う家族がひとつの家族になり、そこから再出発といいますか、日常の幸せを追い求めていく流れになっています。ところが順風満帆とはいかず、ひとりの死を迎えてしまったことで、積み立てていったものが容赦なく崩れます。崩れていく様はさながらドラマのよう。実際にもあるであろう光景に、心が冷える思いがしました。
最後はハッピーエンド、というものではないのですが、ようやくという思いが描かれていて、いつのまにか強く握っていた拳を、少し緩めることが出来るようになりました。家族の物語はときにあたたかく、ときに冷たいです。そういった時間が流れているのだなと学ばせてくれた物語でした。