つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年7月の読書感想文⑧ 自転しながら公転する 山本文緒:著 新潮社

山本さんの作品は初めて読みました。

読んでよかったと思いました。

 

 

自転しながら公転する 山本文緒:著 新潮社 個人蔵

 

島清恋愛文学賞受賞

中央公論文芸賞受賞

 

切実さというか、切羽詰まったような感覚がジワリと迫ってくるような小説。

物語のはじまりから展開までのすべてが素晴らしく、読み手の視線と手をいつしか繋ぎ止めていました。

 

主人公の女性は母親の世話のため、東京から地元に戻り、地元のアウトレットモールで働きます。そこで出会った男性と恋愛に走るのですが、そこがなかなかうまくいきません。そのうまくいかないことは恋愛に限らず、勤めている会社内でも起きてしまいます。女性はこんな過酷な状況で働いているのかと驚愕するとともに、女性から見た男性への視線等に息をのみます。

 

羨ましかった展開がありました。

付き合っていた男性と別れてから、また交流するという流れです。

 

ぼくはの場合は別れてしまったら、それまででした。

友達に戻る、なんてことを昔は言っていましたが、そんなのはありませんでした。

 

なのでこの作品に出てくるキャラクターが、羨ましく感じました。

過去に別れていった人たちと、今でもつながっていたらと、思うようになりました。