山本さんの作品は初めて読みました。
読んでよかったと思いました。
自転しながら公転する 山本文緒:著 新潮社 個人蔵
島清恋愛文学賞受賞
中央公論文芸賞受賞
切実さというか、切羽詰まったような感覚がジワリと迫ってくるような小説。
物語のはじまりから展開までのすべてが素晴らしく、読み手の視線と手をいつしか繋ぎ止めていました。
主人公の女性は母親の世話のため、東京から地元に戻り、地元のアウトレットモールで働きます。そこで出会った男性と恋愛に走るのですが、そこがなかなかうまくいきません。そのうまくいかないことは恋愛に限らず、勤めている会社内でも起きてしまいます。女性はこんな過酷な状況で働いているのかと驚愕するとともに、女性から見た男性への視線等に息をのみます。
羨ましかった展開がありました。
付き合っていた男性と別れてから、また交流するという流れです。
ぼくはの場合は別れてしまったら、それまででした。
友達に戻る、なんてことを昔は言っていましたが、そんなのはありませんでした。
なのでこの作品に出てくるキャラクターが、羨ましく感じました。
過去に別れていった人たちと、今でもつながっていたらと、思うようになりました。