個人的感想として、ひどく幻想的で、ひどく現実的な世界を描いていました。
細かく章が分かれているのですが、解説を読むとそれらはラテン語で書かれているそう。そういう意図から少し宗教的な演出を想起してしまいますが、中身は一筋縄ではいかない展開が待っています。
それはどことなく海外小説の空気を纏っているかのようで、加えて性を扱うことで神秘的な、そして禁忌的な深さをもたらしています。現代という時間を軸としながらも、その傍らには昔という時代を帯同している。それは総合して歴史という名称になるのですが、それはまた人生という縮図にも見せてくれます。技術というのは野暮ですが、こういう世界をまとめ上げる力はさすがだなと思いました。