北海道新聞7月23日朝刊の一面は、珍しく農業の記事でした。
見出しは「放牧酪農 今こそ脚光」というもので、昨今の原料等高騰の危機打開策のひとつとして、牛の放牧を取り上げた記事になっています。
放牧というのは文字通り外に牛を話して飼育するというもの。
外環境では自然の草があるためで、餌やりや糞尿の処理などが省けるとともに、施設維持管理などのランニングコストも圧縮できる方法になります。しかし一方で草の成長は天候に左右されやすい一面を持っています。牛は一か所に放牧し続けるのではなく、ある程度のタイミングで別の放牧地に移動させ、バランスよく草地全体の草を食べてもらう必要があります。
記事内では北海道・道東にある足寄町(松山千春さんの生地)の酪農家を取り上げ、放牧酪農の実際を取り上げています。
また世界的に「持続可能な生産環境」を整備していく動きがあり、放牧はその活動にマッチしていることから、放牧でも十分に生活が可能な仕組みを確立していくべきとの声で記事はまとまっています。
これまでは大規模への収束が進んでいましたが、大規模ほど原料高騰は大打撃になります。飼養方法そのものを考えさせられる事態なのですが、放牧はそこに光を当てる打開策として紹介されています。
しかし懸念もあります。
大きな懸念のひとつに、「草地」の限界があります。
草と言えども有限の産物になるため、牛を養うにはかなりの広さの草地(放牧地)が必要になるのですが、個人農家であればなんとかなっても、大規模な経営をしているところですと現実的ではありません。実際に山等を見てみると、農作業機等も入れない場所がいたるところにありますので、そこに牛を放して草を食べてもらうことは「あくまで」可能ですが、同時に課題も出てきます。
放牧を行えば解消できるものもあるし、新たに浮かんでくる課題も出てきます。
たとえアナログであっても、三方良しの解消法を探っていくことが、早急なのではと考える記事でした。