ミステリー×恋愛の要素が込められた作品です。
新聞の新刊紹介でチェックしていた本だと思います。
十二月の辞書 早瀬耕:著 小学館 個人蔵
元恋人から電話なんてかかってきたことなどない・・・と自虐しつつも、その展開が突飛していて、強引に「世界」に引き込まれていく感覚を覚えます。
元恋人の依頼の舞台となるのが、北海道函館市。目的の絵を探すというのが、本書の大まかな流れです。
帯の裏には「綺麗に終われなかった恋の記憶と」とあります。
その記憶を引きずりながら、元恋人の依頼を果たすというのは、果たしてどんな心境になるのだろうか?なんだか禅問答のように感じてなりません。
SFではないけれど、科学的な要素も含まれた謎解きになっていますが、人間同士のことはなかなか科学では解明できないことも多いです。ちょっとした絶望を感じながら、あの日のことを思い出し、「もしも」を脳内に漂わせながら読んだ物語でした。