つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年繫忙期の読書感想文㉑ 昨日星を探した言い訳 河野裕:著 角川書店

新しい青春小説、野望小説を読んだ気がしました。

 

昨日星を探した言い訳 河野裕:著 角川書店 個人蔵

 

全寮制の中高一貫校に進学した男子学生は、生まれつき緑色の目を持つ女子と同級生になります。その女子は「表向きには差別がなくなった世界」で、総理大臣になることを目指していました。

 

彼女がその学校に進学した理由が、この男子と友達になったことで明らかにされていくとともに、謎解きの要素が顔を出し始めます。その先には、世界の広さを実感させ、また社会の仕組みを痛感させられる展開が待っていました。そして帯にある通り、恋心もその奥底には見え隠れしています。主人公男子の感情の機微を感じつつ、どうかもうひとつの青春を過ごしてもらいたい作品です。

 

学園(学校)を舞台とした作品は、一種のファンタージです。

作品にファンタジーが織り込まれているのとはまた別に、その世界はファンタジーなのだと思うのです。だからこそ、青春が存在するのではと思いました。