つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

波を緩やかにすることができればいいのにと思う。

北海道新聞9月26日朝刊1面に「新月寒体育館 ドーム敷地に」との見出しが載りました。

 

札幌市は冬季オリンピックの競技会場として建設を計画している新月寒体育館について、札幌ドームの敷地内に整備する方向で最終調整に入った、との報道です。ここにはいくつかの驚きがあり、「冬季五輪を見据えている」ことと、「新月寒体育館」の名称がつくことでした。この記事は28面にも関連記事があります。

 

新月寒体育館ですが、冬季五輪のほかはプロバスケットボールチームである「レバンガ北海道」のホームコートを想定しているとのことです。これまでは札幌きたえーる、そのまた昔は月寒グリーンドーム(現在はなし)で試合をしていましたが、トップリーグで運営していくことを想定すると北海道内には基準を満たした競技会場がないとのことで、新設の整備を以て会場に充てるとの考えです。

 

もう少し記事を読み進めていくと、アイスホッケーのリンクとして使える計画のようですが、整備計画だけが先走りしている印象を持ちます。その背景には、その他の競技施設が老朽化していることと、スポーツ環境の目覚ましい進歩に対応していかなくてはならない事情があるようです。

 

 

こういった計画が上がると、どうしても賛成と反対に分かれます。こういった話でなくても、賛成派と反対派に分かれます。賛成・反対どちらの声もうなずける内容、ちょっといったん落ち着きましょうと思える内容を含んでいますが、それらの声とは別に、国際環境に倣わなくてはならないというプレッシャーがあります。つまりは、いままでの競技場で十分という考えではもはや通用しなくなる可能性が高いということです。そんなの関係ないと言うのは簡単ですが、そう言い切ってしまうことで国際交流の足音が聴こえなくなってしまうという可能性もあるからで、実際にそうなってしまったからと言って、反対派の人たちは一切責任を取りません。逆に賛成派の声を鵜呑みにして期待していたとしても、様々な事情で施設利用が活発化しない可能性もあります。その根拠となるのが札幌ドームでの運営になるのではないでしょうか。正直、プロ野球チームとの信頼関係の崩壊(と言っていいのかどうか)は大きなニュースであり、札幌市としては大きな損失になりました。札幌市はやんわり否定するでしょうが、プロ野球チームがホームグラウンドにしていたことで、交通機関の利用や周辺施設・札幌ドームにおける購買活動、広告の掲載、各種手数料の納入が叶っていたわけです。それをほぼすべて失ったという事実は、失政以外の何物でもないと思います。悪い意味でのお役所体質は、未来を見ている企業には受け容れられなかったという実例になったとともに、札幌市に対する失望はここで大きく膨らんでしまったと思います。そんな中での新施設整備は市民の目にどう映るのでしょうか。半ばあきらめているのかもしれませんね。

 

 

競技施設は北海道民が利用するほかに、観光客や海外客も利用することを考えると、どこかのタイミングで整備しなければならないというのが実情です。札幌市はかなり悪いタイミングで最終調整に入ったと感じています。札幌市を離れてもう5年以上経過しますが、なんとなく「陰り」がついていかないか、ちょっと気にしてしまうのです。