つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

活用できないものは「ない」という未来へ。

日本農業新聞10月23日の13面「GXみどり」の紙面にて「廃羊毛活用へ実証試験」という記事が出ていました。

 

羊毛ですが、服地製造の工程でどうしても廃棄せざるをえない羊毛が年間100kgほど出ており、処分にも費用がかかるほか、処分に際し二酸化炭素が排出されるとのことで、環境にもいくばくかの負荷がかかっていました。

 

この羊毛を別な用途に使えないかということで試行錯誤していたところ、羊毛の成分に窒素が含まれていることを確認できたため、農業に利用することを検討したとのことです。

 

記事内では茶葉向けに羊毛を使うことで窒素成分を賄うことができるため、化学肥料の使用量を減らすことを目標に試行を行っているそう。そしてこれは味にも出ているようで、本格的な試験結果を得るには時間がかかるとのことですが、好循環への歯車が噛み合いつつあるとの内容でした。

 

 

廃棄するから活用するへの転換

リサイクルの意識が生まれてから何年が経過したでしょうか。

まだ使えるものは使い、使えなくなったものは次に生まれてくるための材料としてリサイクル資源に回す。そういった取り組みが生活面において定着しましたが、生活以外の現場ではまだまだ廃棄されているものが多いという現状を知りました。その中で活用への転換というのは大きな展開にほかなりません。なぜならマイナスであったものがゼロではなく、プラスに転じるのです。この道筋をつけることはかんたんなことではありませんが、実現することによって産業がもたらす役割等に大きな付加価値をつけることが出来るようになります。

 

 

「廃」であっても「資源」に変わりはない

わたしたちは使い勝手の問題で、「廃」という定義をつけてしまいます。しかしながら使えないものがたくさん集まりますと、「廃」じゃなくなる可能性が出てきます。廃棄してしまうのは簡単ですが、やはり費用がかかります。これを回収する努力も必要になってきます。しかし廃棄するのではなく活用できたとするならば、回収できる額にも大きな違いが出てきます。わたしたちは単純に「使えない」ものに対して「廃」という文字をつけてしまいますが、それは「廃」だと判断する側にそれを活用する手だてが保有されていないとも言えます。過去も今も何かと決めつけてしまう世の中ですが、この「もしも」が物事を大きく変えてくれる可能性はあるんじゃないかと思っています。

 

 

今回の記事では「環境への負荷軽減」がウィークポイントになっています。こういった目標を掲げる企業は少なくありません。そのため、現代では当たり前になりつつある目標であるとともに、そこで働く人たちが共有する意識でもあります。草の根運動的な展開な部分もありますが、この波及効果は大きいです。こうしていくことで、産業に大きな価値が付加されることを願っています。