よく見渡してみると
周りは木々や草に囲まれていた
花の鮮やかさよりも
一色の深さのほうが勝っていた
よく見渡してみると
季節を象徴する色も垣間見えるのだが
闇ではない深さを持ち
光りとも違う眩さを備えている
ひとつの色の神々しさが
ただただそこに在り続けていた
普段いる球体上では
液体が大部分を占めているそうなのだが
それと同じく
陸地と呼ばれるところには真逆と言っていいものが
ひとつの世界を形成し続けている
何の感銘も受けない色であるかもしれないが
ひとつひとつその色合いは変わっていることを知ったとき
世界に感じる感覚がまるきり変わるだろう
もう見飽きたかもしれないが
実は刻一刻と変わっている
見慣れた緑は世界を包み続けている
それは大いなる慈悲であるかのように
そして我々を試すかのように
ただ黙って
鮮やかな彩りを香らせている