【詩】まやかし

経済というものが発展してからというものの
都会の中に救いを求める声が生まれてきた
豊かになっていこうという動きの中に
人生からの救済を求める切実な願いがあるのは
誰しもが求める豊かさは一緒ではないということの裏返しだった
時代は進み 近代化と言われてきても
近代化とは真逆のものに 世界からの脱却を望む者が増えてきた
浮世のモノはすべて捨てよという声を信じ
この世界でしか積み上げることが出来なかったものをそのまま差し出す
原始のころの存在はそれを求めなかったのだが
今はなぜか 現人神を謳う不確かな存在に没頭している
そこにあるのは純粋な信仰心ではなく
計算しつくされたコントロールであるかもしれないのに
自分の耳に囁かれる救いの言葉は
自分がちゃんとつながっている証拠だと思ってしまう
その救いの言葉を発したのは大いなる存在だと
誑かす存在だとは微塵にも考えず
自分を肯定する言葉のみに頭を垂れる
そういった術式にすすんでかかるようになってしまった
物事の真ん中にいると実はよくわからないが
少し離れてみると何が起きているのかは一目瞭然になる
信じる信じないは別としても
何が起きているかを事実として受け止めることはできる
いまこの世界にはいろんな騒動があり
いろんな救いを指し示す妄動がある
どうか不安にならず堂々と
迷いを引き込むものから離れますように