つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和2年8月の読書感想文⑩ 八月の六日間 北村薫:著 角川書店

八月もきょうで終わり。

 

読みたい本リストを眺めていましたら、八月とつくタイトルがあったので、今月中に読もうと思ったのがきっかけです。

 

 

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八月の六日間 北村薫:著 角川書店 八雲町立図書館蔵

 

 帯を見ましたら、テレビで紹介された本のようです。

内容は「仕事と登山」のお話。

 

長編のような短編のような。

 

しかし、読んでいてこの身に準えられている感覚を持ちました。

 

 

主人公の仕事(編集者)と山歩きがセットになっていて、よりリアリティを感じます主人公が抱く感情は何も特別なものではなく、誰もが持ち、感じ、そしてよぎるものではないかと思います。

 

職場での出会いと、山での出逢いは何かが違います。

置かれている環境も、職場と山とでは、大きな違いがあります。

どちらの世界においても、命取りになる出来事はあります。反面、心奪われる場面にも出会います。現実と非現実の間を行き来するからこそ、日ごろ訪れることのない山には、不思議な魅力を感じるのではと思います。

 

個人の話として、低い山ばかり登ってきました。

それこそ日帰り、足にケガを抱えている身でもなんとかなる規模の山ばかりです。

誰かとすれ違い、あいさつすることもありますが、ほとんどの時間は独りです。

ただ歩みだけを進める時間の中で考えることは、実はそう複雑ではありません。

余計なことは一切ない、実直な世界だけが目の前にありました。

 

もうしばらく山には登っていませんが、お陰様で大自然の中に身を投じる日々を送ることができています。現実社会で働きながら山をはじめとした大自然に触れて生きる。

すごく難しいことのように思うのですが、それが叶ったのだなと思うと、これからの生活様式は自ずと定まってきます。

 

浄化作用あり、栄養補給ありの本。

ステイホームで気疲れした心には、うってつけの本かもしれません。