午後から雨が降ってきた
しかし用事があって小ぶりのなか外へ出た
あれ 雨ってこんな匂いがしたんだっけ
1年ぶりの再会のように感じた
晴れの日の匂い
曇りの日の匂い
雪の日の匂い
雷の日の匂い
強風の日の匂い
実はこの世界は匂いが充満している
それが当たり前すぎで気づいていないだけなのかもしれない
この町の海側は潮の匂いがして
山側では酪農の匂いがする
道路では排気ガスの匂いがして
飲食店の近くではおいしそうな食べ物の匂いがする
近くを散歩している犬の匂い
もちろん鹿や狐や牛だって匂いがする
ちょっと怖いけど熊さんだって
そして小さなねずみだって
もちろんぼくたち人間も
生活空間にももちろん匂いはある
そしていつも一緒にいるあの人にも
かつて一緒だったあの人にも
思い出のようの匂いは香る
それがわたしを忘れさせずにいる