つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年1月の読書感想文⑫ 心の傷を癒すということ 安克昌(あんかつまさ):著 角川ソフィア文庫

北海道砂川市、いわた書店の一万円選書でセレクトしていただいた本も、これで最後の一冊となりました。

 

 

f:id:maruyamabase:20220115093813j:plain

心の傷を癒すということ 安克昌(あんかつまさ):著 角川ソフィア文庫

北海道砂川市 いわた書店の一万円選書にて選書

第18回サントリー学芸賞受賞作

 

阪神淡路大震災を経験した医師による、被災地から発信した「心の傷を癒すということ」についての克明な記録本となっています。これは人によっては、読むのが苦しくなるかもしれません。

 

しかしここには事実が記載されているとともに、当時の心情も克明に記録されています。救いの手を求める者、救いの手を差し伸べる者がいますが、あのような状況下ではいつそのバランスが崩れるかもわからない。綱渡りの状況であったとともに、切り取りで伝えられてしまう現実など、やるせない気持ちがじわじわと湧いてきます。その中でも注目すべきは、カウンセリングをはじめとした行動体制の実施と確率、そしてボランティアの対応ではないかと思っています。どうしても報道では、その細部までは紹介されません。ほんの入り口だけしか伝えられないので、その先というのはどうしても見えてこないのです。だからこそ、この記録は価値があるのではないかと感じています。

 

今や日本はどこでも被災地になりうる状況になってしまいました。

我が家でも不測の事態に備え、ある程度の生活ができる環境づくりをしています。

しかし状況によっては、余裕がない中での他者に対する行動をとっていかなくてはなりません。その時はこの本の存在を思い出し、行動に努めたいと思っています。