令和4年1月の読書感想文⑯ 森の探偵 宮崎学 小原真史:文・構成 亜紀書房
まさしくタイトル買いした一冊です。
写真家、宮崎学さんによる一冊。
帯のことばには、半世紀にわたるその活動を網羅した一冊とあります。
副題には「無人カメラがとらえた日本の自然」とありました。
彼が技術を駆使しして自然の一コマを捉えたとき、その時でしかない光景が待っています。それは単純に写真だけでなく、その背景や現在の生態系など、様々な情報をもたらします。肌感覚で野生動物が多くなってきた今日ですが、その理由がここに明確になっています。
本書は写真もそうですが、文章も魅力的です。
自然界に寄り添った文章であり、人間が及ぼす影響をしっかり捉えた文章であります。
なぜこの動物がそこにいるのかの、ひとつの導線が見えるかのような丁寧さが見えます。
わたしの居住地にも、さほどではないですが野生動物が行き交っています。
それは人間が起きている間よりも、人間が姿を見せなくなった頃を見計らっているような気がします。冬であればその痕跡がはっきりとわかるので、どのように行動していたかが一目でわかります。
餌付けはしていませんが、逞しく生きているようです。しかし人間側への被害をもたらしてしまった場合は、残念ですが何らかの対処をしなくてはなりません。ここは自然であると同時に、わたしたち人間の生活する場であり、大きく言って経済活動をする場であるからです。野生動物もわたしたちも、ともに生きるために動いています。棲み分けはかんたんなことではないのです。