つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年1月の読書感想文⑯ 森の探偵 宮崎学 小原真史:文・構成 亜紀書房

まさしくタイトル買いした一冊です。

 

f:id:maruyamabase:20220126221159j:plain

森の探偵 宮崎学 小原真史:文・構成 亜紀書房

 

写真家、宮崎学さんによる一冊。

帯のことばには、半世紀にわたるその活動を網羅した一冊とあります。

副題には「無人カメラがとらえた日本の自然」とありました。

 

 

彼が技術を駆使しして自然の一コマを捉えたとき、その時でしかない光景が待っています。それは単純に写真だけでなく、その背景や現在の生態系など、様々な情報をもたらします。肌感覚で野生動物が多くなってきた今日ですが、その理由がここに明確になっています。

 

本書は写真もそうですが、文章も魅力的です。

自然界に寄り添った文章であり、人間が及ぼす影響をしっかり捉えた文章であります。

なぜこの動物がそこにいるのかの、ひとつの導線が見えるかのような丁寧さが見えます。

 

 

 

わたしの居住地にも、さほどではないですが野生動物が行き交っています。

それは人間が起きている間よりも、人間が姿を見せなくなった頃を見計らっているような気がします。冬であればその痕跡がはっきりとわかるので、どのように行動していたかが一目でわかります。

 

餌付けはしていませんが、逞しく生きているようです。しかし人間側への被害をもたらしてしまった場合は、残念ですが何らかの対処をしなくてはなりません。ここは自然であると同時に、わたしたち人間の生活する場であり、大きく言って経済活動をする場であるからです。野生動物もわたしたちも、ともに生きるために動いています。棲み分けはかんたんなことではないのです。