詩人と医師による、往復書簡を一冊の本にしたものです。
ホスピスに携わる医師が様々なエピソードを手紙に託し、詩人が詩と散文で応えた記録。期間は二年間ですが、印象的な本となりました。
本文の前に写真が掲載されているのですが、その表情が物語る世界も驚きです。
正直あまり明るい世界ではないと考えていたのですが、徳永医師が携わる医療には、明るさがありました。きっとこういった世界が、あちこちであるものと希望しています。
この御二人の手紙による語らいは、示唆に富むものであり、本来の生死についてのなんたるかを気づかせてくれる芽を持っています。今やスピリチュアルがブームになっていますが、こういうところから見つめなおしていいんじゃないかと。宗教もスピリチュアルも、生死が大きくかかわってきます。元気であるうちはあれだこれだと主張し行動したいと考えるのも無理はないのですが、自由がままならなくなってきたときのことも考えなくてはと思ってしまいます。個人的なものですが。
詩も医療も、無限の可能性があると同時に、虚しさがあるように思います。
そこをしっかりと見つめている言葉は、その時だけ煌びやかに見える言葉よりもずっと重みがあると思っています。