つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年10月の読書感想文⑧ 草地と日本人【増補版】 須賀丈・岡本透・丑丸敦史:著 築地書館

日本の土壌形成や自然景観と呼ばれるものの変遷を追った一冊。

増補版として再刊行されたので読んでみました。

 

草地と日本人【増補版】 須賀丈・岡本透・丑丸敦史:著 築地書館 個人蔵

 

 

草地という部分に光を当てて掘り下げた珍しい一冊で、その遡りは縄文時代にまで届きます。社会科?か何かの授業で農業とくっつけて、草地の維持について学んだ記憶がありますが、本書は日本各地における草地の歴史的な変遷や特徴ある草地についての説明がされており、当たり前ではありますが、どことして同じ草地はないのだと気づかされます。

 

また本書を通して語られるのは、草地が変わっていくことによる生態系の変化に対する懸念、または危機感です。種が絶滅に向かっていくことは、人間にとって大きな財産の損失と考えられていますが、産業の発展とともに現在もそれは進んでいるのが現実です。その「発展」をどのように捉えていくか、提言を投げかけている感覚が残りました。

 

 

地方に行けば、草地は意外にも多くあります。その土地や地域の大半を占める場合もあります。長く人間と生活を共にしてきた草地は今後どのように生き延びていくのか、地方に住む人間としては大きな関心事のひとつなのです。