つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年4月の読書感想文⑤ 火の鳥(全13巻) 手塚治虫:著 角川文庫

かつてファミコンのゲームやアニメ映画などで有名になった「火の鳥」。

これまで原作を読んだことがありませんので、満を持して読み切りました。

 

 

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火の鳥(全13巻) 手塚治虫:著 角川文庫 個人蔵

 

各巻には〇〇編というサブタイトルがついており、

 

1巻:黎明編

2巻:未来篇

3巻:ヤマト・異形編

4巻:法王篇

5巻:復活・羽衣編

6巻:望郷篇

7巻:乱世編(上)

8巻:乱世編(下)

9巻:宇宙・生命編

10巻:太陽編(上)

11巻:太陽編(中)

12巻:太陽編(下)

13巻:ギリシャ・ローマ編

 

という編成になっています。

 

 

この作品は一気に読み進めるのが難しかったので、かなり時間をかけて読みました。火の鳥の生き血を飲めば永遠の命を授かるという伝説が始まり、人間たちが翻弄されていきます。その描き方は設定が変わっても展開は似ていて、人間の業の深さを痛感させます。

 

この物語を読んでいくと、火の鳥が何かを幸せにする、といった展開のものではないようです。連綿と受け継がれていく、人間の性をまじまじと見せつけるといったことに力を入れているような気がします。個人的には、この作品は「お経」と感じました。お経には救いの方法(のようなもの)が書かれているようにイメージしがちだったんですが、実際はそれほどでもない(いや説いてはいます)という具合なのです。この作品は火の鳥という崇高な存在がありながら、話は救いに向かっていくことはありません。直接的に救い等を説くのではなく、人間の生きざまを俯瞰して何かを感じ取ることこそが、救いに対する大きな気づきにつながるのかもしれないと感じました。

 

これでやっと、手塚先生の作品をひとつ、読むことが出来ました。

次はブッダを読んでいくことが出来ればいいなと思います。