ちょうどこの本を手に取った時期が、信仰や宗教に対して様々な目が向けられていたときでした。そんな背景から、この本を手に取りました。
8篇を収めた短篇集となっています。
表題作が気になって読んだのですが、現代は宗教(カルトを含む)を「ビジネス」として興すことが題材となっているようで、現実世界においてもそういった面が問題として近年表面化されていると聞きます。
信じるということは人間として生きていくうえで大切な、そして必要な要素となっていると感じるのですが、その信じるがある時には「異常に軽く」、そしてある時には「頑なに硬く」なるのです。その背景には人間の心理構造をうまく突いたものがあるのだと思いますが、この信じるという動作は無意識に行われていることが多く(または流動的、もしくはルーティーンのように)、決して疑おうとしない面があります。表題作は問題点を含めたものを含めており、同時に儚さを感じさせるものでもありました。
村田さんと言えば、「コンビニ人間」が代表作のひとつになっています。
村田さんの作品はどれも質が高いので、手に取る価値ありだと思っています。
文学作品に触れることは、触発されることだと思います。
これからも多少ながら、触発されていきたいと思います。