つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年8月の読書感想文⑬ 走れ、若き五右衛門 小嵐九八郎(こあらしくはちろう):著 講談社

かの石川五右衛門がどのような生い立ちで「義賊」に成長していったかを綴った大作です。

 

 

走れ、若き五右衛門 小嵐九八郎(こあらしくはちろう):著 講談社 個人蔵

 

 

本書は主人公となる石川五右衛門の幼少期から義賊になり、組織を組むまでの流れをまとめたもので、個人的には石川五右衛門に対するイメージががらりと変わりました。

というのは、どうしても五右衛門は「悪者」というイメージがどうしても拭えない。

悪代官から金品を盗んでは平民に還元するという「義賊」という立場もわかってはいるのです。でも何かが足りないんだろうなと、自分の中で思っていました。

この本を読んで、少しでも納得いくものが得られたような気がします。

 

本書は小説でありますが、方言(またはその時代の、その地域でのことば)が多用されているので少々読みづらさを感じました。そういった意味では、演劇等の台本寄りかなと感じるところも。ただ本書はかなりの厚さをもっているので、読み物としては十分であり、青春を感じるにも十分な内容でした。

 

今の時代、義賊というのはいない(おそらく)でしょう。

もしこの時代に出て来たとしたならば、その気持ちや考えを知りたいなと思いました。