三省堂留萌店で購入した1冊です。
「明るすぎる闇」に迫る、著者の新境地と評された短篇集になります。
常識VS非常識の物語に感じます(どこに常識と非常識を置くかという話は別にして)。こういう構図の場合、非常識と指さされる側にはその自覚がないことが特徴です。本作は常識ある(比較的)人が非常識な人に翻弄されていき、何かが少しずれていく様を描いています。ちょっとダークな、しかしそれも日常の中に埋もれているありきたりのような出来事だと思えると、どうしてこんなにずれてしまったのかなと考えさせられます。読後感は様々だとは思いますが、現代人特有の感情がよく描写された作品だと感じました。
ひとりの人間の中にだって常識や非常識は存在していて、かつそのどちらも持っていると考えています。現代ではそれが顕著になっているからこそ、この作品の深さが浸透するのではないかと思います。