ずっと読みたかった本でした。
元自衛官による作家の戦争小説。
小隊 砂川文次:著 文春文庫 個人蔵
本作は3篇収められており、戦場の近くにいた人間が描いた戦争を体感することが出来ます。
読んでいて思ったのは、あまり抑揚がないというか、淡々と状況が変化していき、その様子を語っているところです。映画やドラマの影響なのでしょうが、やはり展開が変わると大きな何かを待っている自分がいます。しかし本作はそうはならず、不気味に感じる要素を抱えながら場の展開を行っています。これは逆に怖いです。戦場は物音だけが大きく、人間の心理の中では、淡々と何かが過ぎていくだけなのかもしれません。
描写に読者(当方のこと)がついていけない(いまいち理解できない)ところが幾つかありましたが、自衛隊の任務とはという面では大いに知ることが出来る作品でもあります。外国の軍隊と日本の自衛隊はまったく違う性質の組織になると思いますが、組織の中には同じ人間がいるんだよなと、読後に考えていました。