森沢さんの「あたたまる物語」。必読書です。
大事なことほど小声でささやく 森沢明夫:著 幻冬舎文庫 個人蔵
映画化になっていたんですね。機会があれば観てみたいです。
マッチョなオカマのママが主人公と言えばいいのか、このママが通うジムで出会う面々が主人公と言えばいいのか。それぞれの話の主題にはママではなく、かかわりのある人の名前が連なっている。なお、ママの「本名」が、この章の最後に位置しています。
とてもハートフルで、どこかコメディで、そしてシリアス。
どこかの飲み屋街で実際にありえそうな展開は、読んでいても飲んでいても楽しく感じます。しかしながら不安という闇はそんなハートフルにも浸食していくという現実を見せつけますが、その先には「こうあってほしい」展開が待っていました。
400ページ近い大容量の小説ですが、重苦しくなく、あたたかい本になっています。
小説はページの数に比例とか反比例とか関係なく、ページの捲る軽さや重さをコントロールすることが出来る、ふしぎないきものだと思っています。「読ませる」という表現になってしまうのですが、この作品はまさしく「読ませる」本です。映像化された作品も、観てみたくなりました。