つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年6月の読書感想文② 御伽の国のみくる モモコグミカンパニー:著 河出書房新社

BiSHのモモコグミカンパニーさんが書き下ろした初小説になります。

 

御伽(おとぎ)の国のみくる モモコグミカンパニー:著 河出書房新社 個人蔵

※初回特典として特製往復はがきがついています

 

 

メイド喫茶に勤務するみくる(源氏名)がアイドルを目指すお話、というぼんやりとした認識でいたのですが、ページを開いてみるとそこには「アイドルを目指す者たちのリアル」が描かれていたように感じました。

 

アイドルには詳しくないですが、少なくともアイドルになるためにはオーディション等を通過する必要があります。主人公のみくるはそこをなかなか(といってよいのか)突破できずにおり、私生活においても少しの不安を抱えていることがわかります。

 

アイドルを目指す人と、その周りにいる人たちが明瞭に描かれ、その人間関係はまるで著者自身が経験したような錯覚を覚えます。また、性描写もあることから、著者の小説に対する覚悟のようなものを感じ取りました。

 

物語の最後はイメージしていたのと異なる展開でしたが、この作品を通してこの主人公を見守ってきた人ならば、彼女の選んだ道に納得がいくと思います。ページを閉じて思いましたが、それなりに重い話だったのではと。そこが意外だった点です。

 

既にエッセイ2冊、そして小説を出版されたモモコさん。

次はどの分野に挑戦することになるのでしょうか。次回作が楽しみな作家さんです。