つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年4月の読書感想文② 透明な耳。 村本大志:著 双葉社

「耳の不自由さ」を題材にした作品です。こういった作品に触れることは少ないと思っています。

 

透明な耳。 村本大志:著 双葉社 個人蔵

 

 

「耳が不自由」であることについて、固定されたイメージとしては「まったく耳が聞こえない」というものですが、実はそこに至るまでの経過というものを気にしたことがありません。先天性か後天性かという話になるのですが、本書は後天性、つまり何かがきっかけでこれまで聞こえていた耳が音を一切拾わなくなった(聞こえなくなった)一人の少女の物語になります。

 

耳が聞こえないことの辛さや苦しさは、本書を読んでいても苦しいくらいです。

しかし、絶対にその苦しさや辛さのすべてをわかることはできません。

そのもどかしさが作中にも忠実に描かれていて、とても重苦しく感じました。

 

 

ただし、「理解する努力」を怠らず、続けていった周りの人たちもしっかりと描いており、離れた双方の距離が少しずつ縮まってゆきます。そこからの歩みを、どうか読んで感じて欲しいと思っています。

 

 

主人公の耳が聞こえないという設定の作品では、アニメ映画にもなった「聲」があります。これはコミックが原作ですね。こちらも是非読んでいただきたいと思います。