北海道出身の詩人、文月さんの6年ぶりの第4詩集が刊行されました。
パラレルワールドのようなもの 文月悠光(ふづきゆみ):著 思潮社 個人蔵
26篇の詩が収められているのですが、詠んだ感想としては「凛」。
背筋がぴん、と伸び、そして張っていく空気がある。
口語自由詩(だと思う)も収められていますが、詠み手からは冷静さと言いますか、覚めた印象を持ちます。
文月さんの詩に触れると、何となくだが「鼓舞」を連想する。
それは先頭に立って拳を上げている先導者のようだ。
こんな言い方は失礼にあたるかもしれないが、「普通の詩人」はいるのだろうかとふと思ってしまった。そう考えたら、詩人はみな誰もふつうではないと捉えるのがいいのか。文月さんの詩は、抗う、ではなく、詩でたたかっていく印象を強く受けた。
その背景には、言わずとしれたコロナ渦がある。この騒動のせいで、いろんなものがぐちゃぐちゃになった実感がある。文月さんご自身が感じたことを詩にした結果が、この作品につながったとするならば、強くうなずけるのだと納得しました。