つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年6月の読書感想文⑦ パラレルワールドのようなもの 文月悠光(ふづきゆみ):著 思潮社

北海道出身の詩人、文月さんの6年ぶりの第4詩集が刊行されました。

 

パラレルワールドのようなもの 文月悠光(ふづきゆみ):著 思潮社 個人蔵

 

26篇の詩が収められているのですが、詠んだ感想としては「凛」。

 

背筋がぴん、と伸び、そして張っていく空気がある。

口語自由詩(だと思う)も収められていますが、詠み手からは冷静さと言いますか、覚めた印象を持ちます。

 

文月さんの詩に触れると、何となくだが「鼓舞」を連想する。

それは先頭に立って拳を上げている先導者のようだ。

こんな言い方は失礼にあたるかもしれないが、「普通の詩人」はいるのだろうかとふと思ってしまった。そう考えたら、詩人はみな誰もふつうではないと捉えるのがいいのか。文月さんの詩は、抗う、ではなく、詩でたたかっていく印象を強く受けた。

 

その背景には、言わずとしれたコロナ渦がある。この騒動のせいで、いろんなものがぐちゃぐちゃになった実感がある。文月さんご自身が感じたことを詩にした結果が、この作品につながったとするならば、強くうなずけるのだと納得しました。