つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年6月の読書感想文⑧ 優しい死神の飼い方 知念実希人(ちねんみきと):著 光文社文庫

知念さんの著書は初です。

 

優しい死神の飼い方 知念実希人(ちねんみきと):著 光文社文庫 個人蔵

 

 

主人公が、なんと「死神」である。

しかも、「左遷」された死神である。

その死神は「犬の姿」をしている。

 

ファンタジー要素を持った作品です。

 

話の流れとしては、死神の世界でも「成績」があるようで、主人公の死神はその成績がいまいち振るわない。上司との面談の結果、地上のホスピスに派遣されます。しかも犬の姿で。

 

そのホスピスではその手の感覚がある人間がおり、犬(死神)と人間の交流が始まり、ホスピスに入っている患者との交流も始まります。最初は患者ひとりひとりの絡まりを解きほぐしていく話に見えたのですが、患者との交流を重ねていくうちに大きな問題が見えてきます。絡まりは、実は絡めていたのだということがわかったとき、物語は大きく展開していきます。人間以外の存在が、物事を大きく動かしていくことはあるんだなと強く感じた瞬間です。

 

主人公が「犬(死神)」ということもあり、そんなにシリアスには感じませんでした。本作はミステリーなのですが、その中にあたたかみがある、読んでいて心が軽くなる作品でした。