令和5年繫忙期の読書感想文⑫ 桜の下で待っている 彩瀬まる:著 実業之日本社文庫
「ふるさと」ということばに惹かれて、手に取りました。
桜の下で待っている 彩瀬まる:著 実業之日本社文庫 個人蔵
短篇集ですが、作中は主人公それぞれの「ふるさと」が描かれるというもの。
そのふるさとは、作中では東北であり、個人的には「震災前の」、在りし日のふるさとを想像してしまう。
ふるさとの定義はそれぞれで、作中のテーマにも反映されています。
ふるさとは何も「自分が生まれ育った場所」だけではないことを、改めて提示することで、読者にも「大切な場所はあそこにもある」ということを促しているように感じました。
しかし、「ふるさと」は、聖地ばかりではありません。
中には、「苦い思い出」があるふるさとも、なくはないのです。
本作はそのような部分にも光を当て、丁寧に紡いだ作品となっています。
ふるさとを広義に捉えたとして、ぼくの故郷は
・札幌市
・栗山町
・富山県(父家系の生地)
・宮城県(母家系の生地)
ということになります。
母は北海道で生まれていますが、母方の祖父母にはかなり面倒をみてもらいましたので、祖父母の生地を見たいなという気持ちがあります。
ある程度の行動力があるうちに、この目で見ておきたいなと思うのは、相応の年齢になったからなのかどうかはわかりませんが、いろいろあったぼくのふるさとは、何も言わずただ抱きしめたいなと思わせた本でした。