つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

工事延期が語るもの。

北海道新聞10月7日一面の見出しに

 

「30年度札幌延伸延期へ」

 

という文字が並びました。

 

 

北海道新幹線の2030年度開業を断念し、工期を延期するというものです。

 

 

 

 

波乱続きの工事

 

延期の原因としては、トンネル工事が岩盤の関係で遅滞していることや、建設業の残業時間に上限が課される(2024年問題)こと、他工事の影響で人員を集約できないこと等が挙げられています。

 

ここに来て工事延期を発表したのは、冬季五輪の可能性があったからです。

大きな経済発展をもたらすイベントとして未だ名高いオリンピックですが、開催地はそのオープンに間に合わせようと躍起です。国家プロジェクトともいえる事業でしたが、皮肉にも地理的要因をはじめ、様々な壁が立ちはだかり、工期の延期を決めたということになるようです。

 

その後の記事で2030年の冬季五輪招致を断念(という認識)という報道が流れましたが、IOCは30年と34年の2回分の大会開催地を一度に決めてしまうという発表を行ったことで、2038年以降の大会でしか開催を目指すことが出来なくなりました。

大変皮肉ですが、こういったことも関係して工事内容を大幅に見直すんじゃないかなと感じています。

 

 

 

大号令はどこへ

 

ひとつ腑に落ちないと言いますか、納得いかないことがあります。

それはトンネル工事の際に出てくる「残土」。その運び先がなかなか決まらないことや、自然由来の有害物質が含まれていたりと問題になっていました。

 

ぼくの住んでいる土地にもトンネル工事は行われており、当然のように残土の受け入れ先に関する説明会等が開かれました。その時に「工期は遅れることを想定していないのか」という質問をしたのですが、明確に「ない」と言い切りました。その発言と計画性を前提に残土置き場を選定し、運び入れが現在も進んでいます。小さいことかもしれないですが、納得いかないんですよね。工事の延期が決まったって、地元住民に説明はないでしょうし、お詫びの一言もない。おそらく「上が決めたこと」で済ませるでしょう。しかしながら説明会の態度は「もう決まったことだから」というもので、何ら責任を持ち合わせてはいませんでした。それでは何のためにその人たちがいるのか、甚だ疑問です。

 

どのように伝えればいいかわかりませんが、この工事が関係して相当揉めた地域はあるはずです。鉄道運輸機構は権利を振りかざしてその土地をひっかき回し、混乱をもたらしました。その代償を払うべきではないかと個人としては思います。もしくは今後、訴訟等によってなんらかの責任が認められるようになればと願っています。

 

 

 

誰のための新幹線か

 

これで新幹線の開業は延期となりました。

しかし、札幌駅周辺は再開発のために一足先に閉店を実施しています。

正直、連携の悪さを思います。今後どうなっていくのでしょうか。

 

もちろんわかっているのですが、新幹線は誰が使うのか?とふと思いました。

期間中は選手の移動手段として使われるでしょう。その後は一般の利用も増えていくはずです。しかしながら「そのために?」と思うことは少なくないです。今地方ではバスやタクシーの運転手が少なく、運行本数を減らしたり廃止したりしています。交通インフラは確実に細ってきている一方で大動脈だけは拡充を行っています。大都市へのアクセスは良くなるでしょうが、そこから先はどうなるのでしょうか。大事なことは多くあります。そこを見落とさないで欲しいと思います。