つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和5年11月の読書感想文⑨ バベル九朔 万城目学:著 角川文庫

アニメーションになりそうな小説でした。

 

バベル九朔 万城目学:著 角川文庫 個人蔵

 

 

小説化を志望する主人公が親族が所有するビルの管理人となり、管理人業務の傍ら小説を執筆して応募する、というのが流れになるはずだったのですが、ある時からビル内に異変が起こります。入居テナントは少ないものの、不可解なことが起こり、ついには主人公もその騒動に巻き込まれていきます。その原因は「血筋」にありました。このビル自体が異世界へ通じるゲートのような役割を持つとともに、そこの管理人は重要な使命を背負っていた。その影響力は一部の異界の存在には脅威であったようです。様々な謎が螺旋階段のようにぐるぐると昇降を繰り返し、そして真実に辿り着くまでのお話。

そして冒頭に書き上げられていた応募用の長篇原稿はどうなるのか。そこの行く末がとても気になった作品でした。