これはタイトル買いですね。
帯の裏側には
「そうやって元のところに留まらないで、次々動いて移動していくようなものなんだな、人が生きるということは」
とありました。
芥川賞作家の、初めての長篇小説となるようです。
この物語ですが、「〇〇です」と、その時の登場人物の名前を述べるところからはじまります。そんなわけで、どうも過去の記憶のようなものを述べていく展開なのかなと思い読み進めていきますと、何と登場人物が変わります。
その登場人物ですが、当初は最初の主人公が住んでいたアパートに関連するかのように想像していたのですが、それも少し違いました。人から人へつながる展開ではあったのですが、Aさんの語りがあったとして、その話の中にBさんが出てくるのですが、次はそのBさんが語りを始める、といった具合です。
最初は読みにくいかなと思っていたのですが、次を読ませる語りがあり、面白く感じました。こういう映画があってもいいな、と思える良作だと思います。日本の世界観と人と人とのつながりがよくあらわされているのかなと思います。
ところでタイトルの「高架線」、どこに関係してくるのかな?と最後まで疑問を抱いていたのですが、最後に、爽やかに判明します。コロナ渦にならなければわからなかったものが、ここにあると思います。