いまだからこそ読みたい本でした。ということを読後に感じました。
ラジオ報道の現場から声を上げる、声を届ける 澤田大樹:著 亜紀書房 個人蔵
最初、「この人誰?」だったのですが、それはページを開いてみたら次第にわかるようになりました。
澤田さんはTBSラジオに所属する記者、ということになっています。
澤田さんのX
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ラジオという媒体は、声を届けています。
テレビとは異なり、映像を伝えることが出来ません。そのぶん言葉を駆使してリスナーに伝え聞かせます。テレビのアナウンサーとは異なり、ラジオで話をされる人は、テレビとはまったくことなった表現方法でリスナー(聴衆)に語り掛けていると言えます。
澤田さんはTBSラジオのラジオ記者という肩書になっていますが、様々な現場での経験があります。その流れでの現在の立ち位置になっているのですが、澤田さんが一躍有名になったのは、コロナ渦で行われた東京五輪(開催前)に関する取材であったことがわかります。対象への質問と、自身の意見(感想)を言えることは、実は凄いことだと思っています。誰しもが相手の見えないところであれば意気揚々としますが、現場に行くとのまれてしまうことがありますから。またよく顔を合わせる取材対象ですと、その関係を終わらせたくない(NGをくらいたくない)という想いが作動して、聞きたいことを聞けないままになってしまいます。
そうなると、わたしたちがテレビやラジオで聞くインタビューや会見で聞く文言は、どの場面においても「まったく一緒」になってしまいます。それはそのニュースを見る、聞く人たちにとっては「無意味」で何の役にも立ちません。取材というのはそうではないんだよというのが、よく伝わってくる内容でした。
またこの本は、ラジオの魅力や「ひとつの事象を追っていくこと」の楽しさ(重要性)を説いています。ラジオだからこそ出来ることがあると言っていいでしょう。ぼくも今ではラジオが手放せない(聴いているのは専らジャズ番組)ですが、ラジオは斜陽と言われながらも、今日まで元気に稼働しています。その背景を知るには十分な一冊だと思います。
テレビのアナウンサーを目指すという人は多いですが、ラジオのパーソナリティを目指すという人は少ないかもしれません。ですが、これほど魅力的な職業もなかなかないと思います。社会見学があれば是非参加してみてみたいなと思いました。