つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和6年2月の読書感想文⑩ RE-START 鈴井貴之:著 幻冬舎

我らがミスターが出した本ですが、移住者及び相応の年齢を重ねている自分には刺さる内容でした。

 

 

RE-START 鈴井貴之:著 幻冬舎 個人蔵

 

 

現在オフィスキューの会長となった、ミスター(どうでしょう)こと鈴井貴之

現在は赤平市に自宅を構え、そこからさまざまな活動を展開しています。

赤平市には「どうでしょうハウス」もありますね。

北海道赤平市はかつて炭鉱で栄えたマチですが、現在はその炭鉱もなく、活気が失われつつあります。そのような場所にミスターが移り住み、どのように生活していったのかが、本書を通して知ることが出来ます。

 

 

まず驚いたのは、移り住んだ場所を「逃げ場所」と表現していることでした。

ミスターほどの人が逃げるなんてことはあるのか、と疑ったほどです。

しかしながら本書を読み進めていくうちに、ミスターも大変だったということがわかります。それはミスターだけではなく、それぞれの立場で頑張る人たち全員に当てはまります。

 

ぼくも、札幌市から「逃げてきた」ひとりです。

もう、札幌では仕事はできないなと思い、地方移住を決めました。

現在は移住6年目。地域にはなじむことが出来ましたが、定住したとはまだ言えない時間を過ごしています。自分のあれこれは置いておきますが、ミスターの凄いところは「自分で家を建てた」ところにあります。周辺の整備も自分でやったというのも凄いです。ですが実は、その「何でもやる」というのが地方では求められています。仕事に直結しなくても、身体を動かすことの出来る人は地方でも十分に生活できる印象があります。

 

そして、犬との出会い。

これは、ミスターの心境の変化かな、と思いました。

かくいう我が家にもねこが一匹おりますが、当初は飼うことに踏み切ることはできませんでした。別れは必ず来るし、そのことを覚悟しておく必要があったからです。ミスターはその別れをもう何度も経験しています。それでも新しいパートナーを迎え入れてるのは、純粋に凄いことだと思います。

 

 

メディア等で触れる情報には、田舎暮らしの良いところばかりが載っています。

しかし実際は、苦労することのほうが多いかもしれません。

田舎暮らしに成功している人もいれば、志半ばでその地を離れる人がいるからです。

地域おこし協力隊の例で見ますと、任期満了、または就職等で協力隊を外れてそのままその地に留まる割合は低いです。もちろん高い場所もあります。何が違うのかと言えば、地域住民との交流が挙げられます。仕事のあるなしもあるでしょうが、実際にはないわけではありません。地方は都市部よりも深く深く、人付き合いを求められます。その現実を受け容れないと、なかなかやっていくのは難しいです。あとは環境。どうしても合わない場合もあります。なので、移住してきた人たちがそのまま定住するとは限らないのです。地方であればあるほど、です。

 

 

その中でも現在、多くの人が移住を夢見ています。

ミスターの移住に関する行動はかなりスケールが大きいですが、大なり小なりこのようなことを経験すると思います。その苦労を乗り越えてこそ、やっと田舎暮らしが肌に合ってきます。長くその土地に住んでこそ、田舎暮らしの本質が見えてきますので、いま移住しているかたも、これから移住をしようと考えているかたも、相応の覚悟を持っていただきたいと思います。