なにかを始める前から怖がっている人がいた
なにかをする前から緊張している人がいた
その表情には血の気がなく
そのたたずまいもメドゥーサに睨まれたかのごとく石化していた
どうしてそんなに苦しんでいるのか
どうしてそんなに苦しもうとしているのか
しばらく時間が経たないと 理解することはできなかった
ぼくたちは想像力が豊かな反面
縁起でもないことをあれこれと考えてしまうことがある
おそらくはその延長線なのだろう
たとえば 明日の朝ゴミを出すのが間に合わなかったらどうしようといった具合に
明日いきなり上司にどやされたら嫌だろうなといった具合に
ただそれは
水面の表面でしか起きていないとわかったとき
大いなる発見をすることは確かだ
だからこそ 水面の中に入っていく必要がある
それは困難であったり
苦手なことだったり
心臓が破裂しそうなくらいの緊張感を抱くことだったりと
毎日の数だけいろいろあるけれど
いったん その中へ入ってしまえば なんてことない
普段のひたむきが その意味を報せてくれるだろう
だから嫌でも 辛くても苦しくても
水底に潜るようにして
源をさぐるようにして
広がりを感じることができれば上々だよ