つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和2年6月の読書感想文④ [改訂版]アイヌの物語世界 中川裕:著 平凡社ライブラリー

1996年にこの本は世に出てからしばらくして、アイヌという大きな存在にスポットが当てられるようになりました。これを機に改訂版を今年の4月に発行しています。

 

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[改訂版]アイヌの物語世界 中川裕:著 平凡社ライブラリー 八雲町立図書館蔵

 

 今やアイヌ関連の本は幾つも出ております。

実は絵本なども発行されているのです。

アイヌを忘れさせてはならないという大いなる気持ちのもと、現代の先人たちが文化または文明として残そうと努力してきました。その架け橋がこのような形で波紋を呼んでいるのではないかと考えます。

 

 

本書は五章からなり、「カムイの世界」、「人間の世界」、「超人の世界」、「アイヌ文学の特質」、「アイヌ文学の歴史と現在」という項目で構成されています。神謡・散文説話・英雄叙事詩といったジャンルを選び、アイヌ口承文芸の魅力を伝えんとする本書は大変読みやすく、その理解は文学だけの側面に縛られることはありません。語り継がれてきた話がどんなものかも紹介されているので、バラエティに富んでいると思います。

 

 

 

 

当方は道産子であったため、自然にアイヌに触れるようになりました。

(札幌市生まれ札幌市育ち)

 

白老町にウポポイという施設が出来上がりましたが、前の施設もいちど訪れており、驚きの連続であったことを思い出します。

 

ただ、アイヌの歴史は必ずしも明るいものばかりであったわけではなく、それは全世界に目を向けても、同様の歴史を辿らされてしまった人たちがいることを忘れてはなりません。現在は「保護」の対象になっていますが、だからと言ってこれまでの苦痛が和らぐことはなく、徐々に浄化させていく必要がありますし、絶えずそれを学んでいく必要があります。

 

 

ゴールデンカムイの人気もあり、アイヌはもはや絶大な知名度と人気を持つようになりました。これが作品の終了後も、一定水準で続いていくことを願いますし、そこからのつながりで更なる理解が進むことを望みたいと思います。反応は様々かもしれませんが、アイヌを題材とした映画も制作されるかもしれませんね。