つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和2年7月の読書感想文⑤ グレイ 堂場瞬一:著 集英社

堂場さんの作品の中では、異色じゃないかと感じました。

 

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グレイ 堂場瞬一:著 集英社 八雲町立図書館蔵

 

 帯を元に話の内容を紹介しますと、大学生の主人公は日々の暮らしにも困窮していた時に見つけた街灯調査のバイトを始めます。そこで見込まれ、大学生でありながら契約社員として仕事先で出世?していきます。

 

しかしその後、とある会社の調査をした後から状況が一変します。

普通に仕事をしていたはずなのに、警察からは犯人扱いされるようになり、マークの対象となってしまいます。当の本人は何がなんだかわかりません。しかも周りは詳細に状況を教えてくれない。だが自分が疑われていることは事実。疲弊しか訪れない状況の中で、自分自身で実際のところはどうなのか?を突き止める行動に出ます。

 

映画のような話ですね。実際の大学生は、ここまでのことはできないでしょう。

 

ただこの作品を読んで強調されていたのが、主人公の成長の速さにあります。

それは「人が変わる」と言われるほどで、自身では当初自覚はしていなかったようです。

 

しかしそれが、犯罪に巻き込まれたことで否が応でも自覚することになります。すべてを理解しておらずとも、周りの人たちが言っているならば、おそらくこういった能力があるはずー。

 

客観的な分析で理解を導き、これまでとはまったく違う分野で、これまでの経験を活かしていく姿は、頼もしいというよりは多少の怖さを覚えます。

 

どんなものであれ、経験は人を大きく変えていきます。

それが希望をもたらすもの、絶望を突き付けるもの、どちらであっても、その人を導く灯になるのかなと思った作品でした。