つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和2年8月の読書感想文⑦ コープス・ハント 下村敦史:著 角川書店

帯を読んで借りました。

 

 

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コープス・ハント 下村敦史:著 角川書店 八雲町立図書館蔵

 

「コープス」は日本語で「死体」を意味するそうです。

 

 事の発端は連続殺人の罪を問うた裁判で実刑が言い渡されるも、被告人が発した言葉は「その殺人は自分ではない」のひとこと。しかも、自分の殺人だと認定されてしまった殺人に対して、それを行使した人間を知っているかのような発言をしたことで、裁判所の外の世界は大騒ぎに。

 

作中ではYouTuberが存在しているため、「真犯人の遺体」探しは自然勃発し、時代のトレンドになっていく。

 

それを歯痒い気持ちで見ていた警察。内心複雑でありながらも、糸となる事件に関わったことのある刑事はふたたび捜査を開始する。

 

まるで宝探しの絵図のようである。

 

 

物語の主人公は中学生。尊敬するYouTubeたちと手を組み、遺体探しに出かけていく。

なんだか「スタンド・バイ・ミー」を見ているかのようでした。

 

 

物語は断片的に伏線の回収(というか、全体が線になる)が行われ、一気に緊張感が増していきます。ラストの展開も斬新なものだと感じました。

 

 

現在、迷惑系と冠のついた人たちが問題になっていますが、この物語も一歩間違えばという描写がされています。それでも日々同じような投稿が続けば、それはトレンドになってしまい、格好の餌になってしまいます。駄目だ駄目だと周りが騒いでも、それを紹介することによって余計に火がつく。もうどうしようもない構図が見えてきます。

 

登場人物もそれぞれの「事情」を抱えています。それがより人物描写を個性的にしています。まだまだ暑い日が続きますが、怪談が嫌ならば、この作品を読み、涼んでは如何でしょうか。