つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

【詩】秒針は重ねて

誰もが思うことなのだろうけれど

 

久々に誰かと会い そして会話を重ねること

 

その行為そのものはなんと尊いのだろうか

 

 

 

あんなに小さかった子がこんなにも大きくなり

 

カメラに向かって大人びたピースサインをしている

 

距離は空いてしまっても流れている時間は同じで

 

日々の仕事に没頭している中でも

 

誰かは成長し 誰かは老いてゆく

そして誰かは美しくきれいになり そしてまた誰かは足腰が曲がってゆく

 

新聞のお悔やみ欄や広告を見るたびに

 

自分はいまどれくらい生きているのだろうと振り返る

 

 

 

予約席で相手と語らう

 

話の内容はこれまでとはうって違い

 

相手の熱意と思慮の深さが伺えた

 

ぼくはそれに経験を以って返答し

 

抽象的になりつつも その姿勢を肯定した

 

まさかこのような話をするなんて

 

想定外の展開にただただ嬉しかった

 

また会って話したいね

 

口には出さなかった

 

この騒動が収まれば それとも

 

 

 

世界は時間の流れを定めていて

 

目に見える流れは秒という速さだと思っている

 

短い間である秒ですら

 

何度も重ねた先にこのような光景が待っているなんて思わない

 

なんと嬉しいことなんだ

 

単なる独善だけれど

 

その人と出会ってよかったと本気で思った

 

 

 

出会った日は1日冷え込んでいて

 

道路に氷が張るくらいの厳しさだった

 

その中でもあなたの視線は先を見ていて

 

その身振り手振りには情熱がこもっていた

 

ぬくぬくと温めていた身体は外に出ることで余裕を失ったけれど

 

いつの間にか心に火が灯っていた

 

何ができるかわからないけれど

 

この先何かをやることができれば と

 

 

 

冷えた日の空はいつもより澄んでいて

 

星も心なしかいつもより輝いて見えた

 

一緒にいることが出来た時間は

 

かけがえのないものになった