つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和3年12月の読書感想文⑪ 茗荷谷の猫 木内昇:著 文春文庫

いわた書店さんにて選書された作品ですが、帯を見てみますと、いわた書店店主のコメントが記載されていました。

 

 

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茗荷谷の猫 木内昇:著 文春文庫 個人蔵

北海道砂川市 いわた書店の一万円選書にて選書

 

短編集となります。時代は幕末から昭和と幅広くなっており、名もなき人々の、各々の人生を燃えて過ごした痕跡を辿るものとなっています(裏表紙より抜粋)。

 

帯の裏を読みますと、この作品に収録されている一編が、過去の大学入試センター試験に出題されたことがあったそう。そこでの反響が大きく、名著となったそうです。

 

 

読み終えた感想ですが、独特の重みを感じ、ページをめくる指がためらいを感じるほどでした。しかし読み進めていくとその内容に少なからず共感を覚えます。この作品の中には「どうしてわかってくれないんだ」という思いと、「自分は正しい」という信念の強さがほのおとなっています。しかしそれは世間からずれてしまっており、暖簾に腕押しの状態になっていて、歯痒さやむごさを残してしまっているのです。

 

その反面、また読み返したいという思いに駆られる作品でもあります。

この味わいは、これから長い時間をかけて浸透していくものかなと感じました。

東京の地名が入っているのも、楽しみのひとつになりますね。

 

またゆっくりと手に取りたいと思います。

 

 

 

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