つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年6月の読書感想文⑱ 曾根崎心中 角田光代:著 近松門左衛門:原作 リトルモア

著者初の時代小説とのこと。ダ・ヴィンチで角田さんの特集が組まれたことがあり、その著作から本書をピックアップしました。

 

 

曾根崎心中 角田光代:著 近松門左衛門:原作 リトルモア 個人蔵

 

近松門左衛門は教科書に出てくる人ですね。

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確か浄瑠璃の作者として教わった気が。

曾根崎心中は浄瑠璃の作品なんですね。

 

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歌舞伎との違いがよくわかっていないのですが、浄瑠璃は「語る」もののようです。

 

 

さて本作の概要は以下をご確認下さい。

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個人的な解釈ですが、駆け落ちの話です。しかし最後は心中の道を選ぶようです。

この作品自体は知っていたのですが、角田さんの文章を読む限りでは、落語の人情噺かなとも思える内容でした。主人公となる男性はなんだか残念な素性を持っています。いっぽう女性は遊郭にいる遊女で、行動範囲も制限された籠の中の鳥。そのふたりが相思相愛を貫く、切なさを感じさせる物語です。本書は角田さんの翻案(新しい形式や目的に合うように作品を作り変えること。:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)であるため、原作とは異なる部分もあります。が、この翻案を経たことで、ふたりの物語がより人間味を増し、深くなったのではと感じています。

 

この恋が美しいかどうかはわかりません。現代にはこのような恋はあるのでしょうか。

もしあったとしても、ここまでは進めないのではと思います。この時代だからこそ、できた恋なのではと思います。