ペットが物語に大きくかかわる作品ということから読んでみたいと思った本です。
ブック、という、固定の飼い主はいないけれど、商店街に愛されていた犬を起点とした、ブックにかかわる人たちの話になります。そのため、犬の話、とは少し異なります。
物語の主体はあくまで人間で、そのいきざま、いきかたが描かれています。その大事なピースのひとつに、ブックという犬が関わってきます。人生の大事な場面にペットが関わるということは少なくないですが、固定の飼い主がいないペットがそこまでの役割を果たすというのは、なかなかないことだと思います。
人間はしばしば、ペットに助けられます。
人間はしばしば、ペットを中心にして輪をつくります。
人間はしばしば、ペットを家族のように迎えます。
商店街の犬であったブックも、そのような恩恵を受け、かかわる人たちに恩恵をもたらします。その仕組みが素敵そのものであり、いきものとのかかわりを考えるには十分な内容です。
我が家には犬はおらず、猫のみですが、本当に助けられています。
それがわかるだけでも、この作品を読んだ価値があったのだと思います。