つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年9月の読書感想文③ 人間について 司馬遼太郎・山村雄一〈対談〉 中公文庫

司馬さんの小説ではなく、対談などといった作品をこの手に求めて読んでいます。

今だからこそ、司馬さんの文章が必要な気がしたからです。

 

人間について 司馬遼太郎山村雄一〈対談〉 中公文庫 個人蔵

 

人間探求の書、ということばに期待を寄せて読みました。かといって自分が何かできるとは限らないけれど。

 

 

個人的な印象としては、司馬さんは様々な知識と見解をお持ちでいらっしゃると思います。そういった立場の方が対談されるのですから、深い話に違いないだろうという憶測で読みました。

 

内容としては未来のこと、宗教のこと、生死や国家など、切り離すことのできないものばかりが並んでいます。一度読んだだけではという感じを得ましたが、これはおそらく哲学書のようなものなのではないかと思えるほどです。こういった本は、何度か読んで、考えてはまた何度か読むのがいいのだと思います。1回読んでわかった気になっている人は、その程度ではないかと勘繰れるでしょう。

 

残念ながら、最近ではこの「考える」ことを避けている人たちが多くなったように思います。思慮深さが生むものは無限であります。明快さや手軽さも必要だけれど、それでは足りない何かは必ず存在します。おそらく今日に起きている批判の大半は、明快さや手軽さを土台にしたものではないでしょうか。その責任を背負うことなく、その先の結果に対してもまた、批判を繰り返すのであればと思うと、頭が痛くなります。

 

今というか、これまでもこれからも、この国は岐路に立たされ続けると感じています。

無責任な批判は常に飛び交っていますが、その声の中に哲学的なものが少しずつ加わってくるような世界を、田舎の山奥から願いたいと思います。