つたわりとどけ。

日常と非日常のはざまから、伝え、届けたいことを個人で探求し、実践します。このたび不定期更新に切り替えました。

令和4年9月の読書感想文⑧ 国家・宗教・日本人 司馬遼太郎・井上ひさし 講談社文庫

とても読みやすい対談集なのですが、内容の濃さに圧倒されます。

 

国家・宗教・日本人 司馬遼太郎井上ひさし 講談社文庫 個人蔵

 

小難しいかも?と思われるかもしれませんが、かなりスラスラと読めます。

しかしながら刊行が1990年代終わりになるので、そのあたりの話題を持ち出し、国家、宗教、日本人について熱く語っておられます。中には目の覚めることを仰っており、知っていながらそれを見過ごした人たちはどう思うのだろうなと考えてしまいます。

 

宗教についてですが、わたしたちはあまりにも宗教に無知だ、ということを語られています。いやいや、特定の宗教に関する本などが出ているから無知ではない、ジャーナリストなどが追っているから無知などではないと思われるかもしれませんが、そういった媒体がありつつも、ご自身の理解度はいかほどか?というところに詰まっていきます。周りに情報があったとしても、自分の中でどれほど落とし込まれているか。それがなければ、周りの情報を鵜呑みにするばかりです。そしてそこに責任を持とうとしないから何かが余計に悪くなります。動揺や恐怖だけをするいきものではダメだということを、今からでも意識しておくべきと思います。

 

近年でも昭和・平成・令和と時代が移ってきています。

良かった時代もあれば、悪かった時代もあったと思います。

しかしふたを開けてみれば、ひとつの時代でもよかった時、悪かった時はあります。

ほんとうによくないのは、悪かった時の誤りを正さないことです。

その正さないことが、今の世まで続いているのです。それを声に上げるだけでは難しくなってきています。だから余計に悪くなっていくのです。

 

こんなことをうんうん唸って考えながら読んだ本です。

若いころでしたら流し読みしていたでしょうが、今は一字一字に目が留まります。